理学療法士cosugi

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心リハの運動効果って何?

どうも、cosugiです

 

前回は運動療法って何?っていうことや運動療法によって虚血性心疾患(心筋梗塞後)、慢性心不全後の患者様に対してどのような効果が得られるかについてお話しました。

 

今回はその続きで運動療法による効果を深掘りしていこうと思います。

 

まず虚血性心疾患(心筋梗塞後)の患者様に対する7つの運動効果は何でしょう?

おさらいから参りましょう。

 

①:長期予後、死亡率の改善

②:生涯リスクの改善

③:運動耐容能の向上

④:左室リモデリングの改善

⑤:自律神経系への影響

⑥:精神的効果

⑦:安全性

上記の7つが心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン(https://www.j-circ.or.jp/old/guideline/pdf/JCS2012_nohara_h.pdf)上では挙げられていました。

今回も上記のガイドラインを参考にしつつ、7つ効果を1つずつ確認していきましょう!

 

ただし、今回は細かいエビデンスや統計処理については省きます(いずれしっかりとまとめたいですね!)。申し訳ありません。

 

①:長期予後、死亡率の改善

ガイドラインでは心リハは通常治療と比較して総死亡や心死亡を減少させた(概ね20%程度)という報告、(冠動脈の)再梗塞率が減少したという報告や運動耐容能及びQOLが改善、33ヶ月後まで心事故回避率および再入院回避率も良好だったなどの様々な報告をまとめて、長期予後、死亡率の改善の効果があるんじゃないのーって

述べている感じ。

 

②:生涯リスクの改善

若年で急性心筋梗塞の経皮的冠動脈インターベンション(詰まったり、狭まっている冠動脈を広げて血液の円滑な流れを取り戻す目的で行われる治療方法の1つ)治療が成功しており予後良好と判断された場合であっても、冠危険因子(高血圧、糖尿病、脂質代謝異常、喫煙、肥満、運動不足等)を多重に保有している場合が約半数いて、低リスクと判断された場合でも生涯リスクとしては高い場合がある、でも心リハへ積極的に参加することで運動耐容能や冠危険因子の有意な改善が見込まれそうだよといった感じ。

 

③:運動耐容能の向上

心リハによる運動耐容能の向上に関しては最大心拍出量と最大動静脈酸素較差の増大によるものが主であり、その理由としては骨格筋エネルギー代謝の改善、心筋虚血例では運動時の心筋虚血の改善が報告されており、心筋の収縮性の改善はMRI による左室計測の結果で認められなかった、期間は大体3-6ヶ月続けており、運動耐容能が低い人ほど効果が大きい、ただし負荷強度が低いと効果出ない場合もあるからAT(嫌気性代謝閾値)程度の負荷が理想的、ただし喫煙者や糖尿病等を合併していると心リハの効果がでない場合もあったよって感じ。

 

④:左室リモデリングの改善

左室のリモデリングとは心筋梗塞等によって心筋が壊死することで起こる左室の形態や容積、伸展性、壁の薄さ等文字どうり左室を増改築することをさします。ある意味で失われた機能を代償して心拍出量を保つ働きであるが、最終的には左室が拡張したり収縮したりする機能が低下してしまいます。

当初、運動療法はこのリモデリングを助長するのではと懸念されたいたがむしろ左室機能向上、左室のリモデリングも減少する可能性が示唆されてた、でも「左室リモデリングの高リスク例(たとえば広範前壁梗塞、LVEF<40%、左前下行枝再潅流不成功例など)では運動療法により左室の拡大を生ずる可能性を示唆した報告が過去にあり、運動強度を低めに設定し、 慎重に経過をみながら行うことが望ましい」というようにも述べられている感じ。

 

⑤:自律神経系への影響

運動療法により自律神経系にも種々のの影響を及ぼしており、心拍変動(心臓がドキドキと収縮する間隔の周期的な変動)から副交感神経優位になると言われていたり、早期に運動療法を実施することで血清ノルエピネフリン(ノルアドレナリンの米国での呼び方、交感神経の情報伝達に関与する神経伝達物質)濃度や尿中ノルエピネフリン排出量が減少、自律神経系のバランスを整える、周期呼吸(正常な呼吸と無呼吸を周期的に繰り返す呼吸)が消失する割合も運動療法した方が高いよーって感じ。

 

⑥:精神的効果

心筋梗塞患者ではうつ症状が多い、患者様の半分くらいは不安感がある、抑うつ傾向があると予後が悪くなる(6ヶ月、18ヶ月)、運動療法の精神的効果としてはQOLや行動特性の改善が挙げられるが、精神療法と併用した方が改善効果が良いよーって感じ。

 

⑦:安全性

個人の病態や運動能力に応じて運動処方すれば運動療法は安全で、運動中に心事故や有害事象の発生が増えることは少ない、でもリスクの層別化は高リスク患者を認識する上で重要だよーって感じ。

 

長くなりましたが虚血性心疾患(心筋梗塞)に関してはこんなところでしょうか。

 

これだけの効果がガイドライン上で示されているんですねー。

 

ちなみにこんなにたくさんのこと覚えられないとか、なんで覚えるのっていう声もありそうですが、実際に患者様に運動を提供していく状況に置かれた時に今からやろうとしていることの理由も説明せずに「はい、じゃあ今から動きましょう」では中々患者様も納得してくださらないんですね。

 

またそのときはよくても結局継続できなかったりする場合も多々あるので、運動を行うにあたってこういった効果があるんですよと必ず説明し、同意を得ることが必要ですし、患者様ご自身に運動の大切さを理解していただくことが重要だと感じます。

 

なので上に書いてあるような効果は日常的に説明しますし、使用するんですよねー笑

 

今回も少し長くなりましたので、心不全に関してもまとめようと思いますが、次回にしようと思います!

 

どうぞよろしくお願いします。