理学療法士cosugi

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心リハの運動効果って何?part2

どうも、cosugiです

前回は虚血性心疾患に対する運動療法の効果について、心血管疾患リハビリテーションに関するガイドライン(https://www.j-circ.or.jp/old/guideline/pdf/JCS2012_nohara_h.pdf)を参考に1つ1つ確認していきましたねー。

 

今回もガイドラインを参考にしつつ、「慢性心不全」に対する運動療法の効果についてみていきましょう!

 

さて例のごとく、おさらいからですが慢性心不全に対する6つの運動療法の効果は何でしたでしょうか?

 

①:運動耐容能への効果

②:心臓への効果

③:末梢への効果

④:神経体液因子への効果

⑤:QOL、長期予後への効果

(⑥:患者背景及び病態別の効果)

この6つが挙げられていました。⑥に関しては、重要ですが慢性心不全という点では内容が複雑になりそうなので今回は割愛させて頂こうと思います。詳しく知りたい方はぜひ、上記に示してあるURLからガイドラインを確認してください。

 

では詳しく見ていきましょう

 

①:運動耐容能への効果

左室駆出率(LVEF:一回心拍出量を拡張末期容積で除し、100分率で表したもの)が平均で20-30%(正常範囲が55-90%、40%未満の心不全はHFrEFなんて言われたりします)、最高酸素摂取量が10-20mL/min/kg(安静座位で3.5mL/min/kg、活動が中等度の若年男性で40mL/min/kg)の慢性心不全患者に対して運動療法を行うと平均で最高酸素摂取量が20%増加、嫌気性代謝閾値(AT)の増加も認められるって感じ。

最高酸素摂取量やらATやらなんだか難しい単語がたくさん出てきましたがまた改めて書きます!

 

②:心臓への効果

左室収縮能改善効果は少ない(ただし、運動負荷時の心拍出量反応やDOB〈ドブタミン〉負荷時の左室収縮機能は改善、安静が変わらない)

一方で左室拡張機能に関しては、左室早期拡張期流入速度や弛緩速度は改善傾向

冠動脈に対しては冠動脈内皮機能が改善、冠側副血行路増加、運動時心筋灌流改善

左室リモデリングに関しては、悪化させることはないしむしろ抑制する、また左室リモデリング進展及び長期予後予測指標であるBNPやNT-pro BNPを低下させるよって感じ。

 

③:末梢への効果

骨格筋の筋肉量増加、ミトコンドリア容積の増加、骨格筋代謝及び機能の改善、呼吸筋機能の改善が見られ、これらの要素は運動耐容能の改善と関係あり、これらの末梢機序を介して運動耐容能は改善すると言われている。

また内皮依存性血管拡張拡張能改善(機序としては運動にて血流増加し、ずり応力増加の結果として血管内皮の一酸化窒素合成酵素が活性化し、一酸化窒素産生増加するためと言われている)認め、これも運動耐容能改善の一因を担う。

ただし運動を継続しないと内皮機能の改善は元に戻るよって感じ。

 

④:神経体液因子への効果

交感神経活動の抑制、副交感神経の活動促進、持久力運動で促されやすい

呼吸機能への影響もあり、心不全患者の運動に換気亢進が見られるが運動することによって呼吸中枢にある二酸化炭素感受性とともに換気亢進も改善

炎症マーカーや骨格筋局所のサイトカイン(IL-6、IL-1β、TNF-R)低下、抗酸化ストレス作用を認めるが動脈硬化抑制や長期的な指標になるかは今後の課題といった感じ

 

⑤:QOL、長期予後への効果

不安や抑うつに対する効果はほぼ確立されている、しかし運動耐容能が改善しなくてもQOLは改善するっぽいからそんなに強度が高い運動は必要ないかも

心不全再入院や心臓死が減少、心不全イベントもやや少ない、生存率や無事故発生率も良好

また運動行っても行わなくても心不全が悪化したり心事故が起きたり、整形外科的なイベントも変わらなかったので安全性があるよって感じ

 

以上が慢性心不全に対する運動療法による効果になります。

 

今回も中々なボリュームでしたが少しでも参考になればと思います。

 

さてここまで心リハとは何ぞや、運動療法って何ぞや、どんな効果があるのというのをザーッと見てきましたが。。。

ではどんな運動をしたらこういった効果が得られるのか、みなさんは気になりませんか?笑

 

次回はどのような種類の運動がいいの?どうやってやったらいいの?ってとこを説明できればと思います。

 

どうぞよろしくお願いします