論文を読めるようになりたい①
どうも、cosugiです。
論文が読めるようになりたいです。笑
理学療法士という職業を行っていると日常的に「研究」や「科学的根拠」等という言葉に触れる機会が多いです。
私の周りでは、積極的に研究等が行われていません。
周りの声で多いのは、「研究ってなんか難しそう」、「何すればいいの?」、「臨床で精一杯で研究なんかに手を回す時間がない」、「臨床とあまり関係なくない?」等言葉は違えど、難しく自分とは縁がないものとしている声が多いように思います。
しかし研究や科学的に根拠があるとされている方法がわからないまま、医療に従事し、理学療法を提供する。いいんでしょうか。
本に載っていることが確かなことなのか、どんな研究や科学的根拠を元に述べられているか分からないけど、本に書いてあるから対象者に適応をしてみよう。いいんでしょうか。
私はどれも危険であると思っています。
なぜなら自分が行おうとしている理学療法がもしかしたら対象としている方に危険を及ぼす可能性があるかもしれない、もっと最良な方法があるかもしれない、本に書いてある病名や障がいと理学療法を適応しようとしている対象者とそれは同一だけど、本当の意味で同一なの?根本的にには違う可能性はないの?といった思考が浮かんでくるからであります。
また臨床と研究を分けて考える必要もないと感じています。
なぜならWikipediaで「研究」と調べると、以下のような説明がなされています。
「研究(けんきゅう、英: research リサーチ)とは、ある特定の物事について、人間の知識を集めて考察し、実験、観察、調査などを通して調べて、その物事についての事実を深く追求する一連の過程のことである」。
あくまで研究とは、何かしらの物や事柄について深く調べる一連の過程なんですよね。
ということは例えば、脳卒中に対する理学療法って何すればいいんだー?という疑問が生まれ、なんか調べてみよと思ったその瞬間から研究っていうのはもう始まっているんじゃないかと思うわけです。(このなぜ?と思うきっかけに気づくことが難しいなと思う訳ですが。)
また調べようと思ったら、知識を人から聞いたり、本で調べてたり、専門家の意見を聞いたり、ネットを見たり等の様々な方法を駆使して情報を集めるわけです。(調べる習慣作りもまた大変な訳ですが。)
そしてある程度その事柄について調べ終わり、満足する時もあるでしょう。しかし稀にどんなに調べてもわからない事柄が出てくると思います。そしたらそれを今度、どうしたらその事柄、例えば脳卒中のこういう症状にはどう対処したらいいかという疑問を解決できるように実験したり調査するわけです。その際にはどのような研究法は?、デザインは?、対象者は?、統計解析は?等のエビデンスを作るような工程が必要になってきます。
このように「研究」にはある程度、段階があると思いますし、そのどの段階においても、「研究」を行っているんだということに変わりはないわけです。
なので研究を毛嫌いして、何となく難しそうだから敬遠するのも違うかなと感じています。
自分としては研究を意識して臨床に臨みたいなと思っています。ただまだまだ研究ということに対する知識も浅く、勉強途中です。
特に知識を集める段階で本以外に論文も検索を行ったり、目にする機会はありますが中々まだ慣れないところもあります。
そこでどうやったら論文を読めるかな〜といったことを自分なりに考えてまとめていこうと思います。
ではまたどうぞよろしくお願いします。
酸素摂取量とは何かを知ろう
どうも、cosugiです。
さて今回はタイトルの通り酸素摂取量です。
前回のとこでは心肺運動負荷試験(以下CPX)のプロトコールについて特に負荷を×方法にはどんなものがあるか確認しました。
ちなみにプロトコールというのをWikipediaで調べると「複数の者が対象となる事項を確実に実行するための手順について定めたもの」だそうです。
つまりCPXのプロトコールというと、それに関わるスタッフがCPXを確実に実行するための手順についてまとめたものと言い直せるかなと思います。
前回のところで確認したのは、負荷方法として
①:一段階負荷
②:多段階漸増負荷
③:直線的漸増負荷
の3つが挙げられるというところでしたね。
プロトコールとなるとおそらく今まで負荷試験についてまとめた知識を持っていることで初めてCPXを行えるのかな〜と思われます。
ただし、私もまだまだ勉強途中ですので何かご指摘あれば随時コメントいただければ幸いです。
さて話を戻しまして、酸素摂取量です。
みなさんまずこの単語をご存知でしょうか?
酸素摂取量とは簡単に言うと、「単位時間あたり吸気ガスから取り込まれる酸素量」のことです。
つまりは単位時間(議論の基準となる時間の長さ)が1分間とすれば、息を吸い体の中に空気を取り込み、その空気の中に存在する酸素を1分間あたりどのくらい体の中に取り込めるかということを表しているわけです。
ではなぜ今回「酸素摂取量」とは何かを知ろうというタイトルかというと、この酸素摂取量が運動負荷試験を行い、生体にストレスをかけた際に観察される生理反応の1つに挙げられるからなんですね。
またCPXを行い、酸素摂取量の最大または最高量を測定することで、運動筋による有酸素的代謝を可能にする総合的な能力を知ることができます。この総合的な能力を「運動耐容能」なんて言い方をする場合があります。
具体的にfickの原理⦅元々は心拍出量を測定するための原理を提案、その式は心拍出量=酸素摂取量/(動脈血酸素含量-混合静脈血酸素含量)⦆による酸素摂取量が以下の式で示されます。
酸素摂取量=心拍出量×(動脈血酸素濃度-混合静脈血酸素濃度)
ちなみに心拍出量は心拍数×一回拍出量です。
つまり、酸素摂取量は、心拍数×一回拍出量で示される酸素の運搬能力と動脈血酸素濃度-混合静脈血酸素濃度(動静脈酸素較差)で示される組織の酸素利用能で規定されることがわかります。
またCPXにおいては、この最大値や最高値を測定することになります。
ここでも前にお話しましたが、ワッサーマンの歯車にも繋がるものがありますね。
酸素の運搬過程を示したもので、肺で酸素を吸入→心臓で酸素を運搬→骨格筋へ届き、筋内にあるミトコンドリアで酸素を消費してエネルギー産生→エネルギーを産生した副産物として二酸化炭素を産出→心臓が二酸化炭素を輸送→呼気で肺から二酸化炭素を排出すりという一連の流れを歯車を用いて説明している図であります。
まとめですが、酸素摂取量とは単位時間あたりに体に取り込める酸素量でしたが、fickの原理による式では酸素を運搬される能力と酸素利用する能力で規定されていました。
取り込むという言葉だけでみるとなんだか簡単そうですが、実は肺、心、骨格筋やミトコンドリア等様々な臓器や器官が関係している複雑な概念なんだなーってことが伝われば非常に嬉しい限りです。笑
また(最大、最高)酸素摂取量を測定することは運動耐容能(身体運動負荷に耐えるために必要な,呼吸や心血管系の能力に関する機能)を知ることができるのだという点も押さえていただければ思います。
ではまたどうぞよろしくお願いします。
心肺運動負荷試験(CPX)のプロトコール
どうも、cosugiです。
今回はCPXについてです。
今まで書き留めたブログでは、
CPXって何?
どんなことをやるの?
何か使うの?
といったところを確認してきました。
軽くおさらいするとCPXとは身体的なストレス負荷をかけることに対して心肺がどのような生理的な反応をするかということを観察・評価をすることです。
具体的には主にトレッドミルやエルゴメータといった機器を使い、歩いたりペダル漕ぎといった運動を身体的なストレス負荷として行い、心電計・心電図モニター・呼気ガス分析装置等の測定機器を用いて生理的な反応を観察・評価することです。
では実際にCPXを行う際にどのような負荷のかけ方(プロトコール)で行うのでしょうか。
大きく分けると3つあります。
①:一段階負荷
②:多段階漸増負荷
③:直線的漸増負荷(ramp負荷)
方法に関しては、読んで字の如しであり、一段階は1つの負荷強度の運動にて試験を行い、多段階漸増負荷は異なる負荷強度を階段状に漸増させる運動にて試験を行い、ramp負荷は直線上に運動強度を漸増させる運動にて試験を行うものです。
ではなぜ様々な負荷様式があるかと申しますと、得られる指標が異なるからであります。
一段階負荷は、呼吸循環系の応答を分析する最も基本的な方法であり、特に酸素摂取量負荷開始時ならびに回復過程における応答速度や変化量を計測するのに適していると言われています。
多段階漸増負荷は、虚血性誘発目的で行われることが多く、嫌気性代謝閾値や呼吸性代償開始点の決定等の各種パラメータの変曲点の検出には不向きであると言われています。
ramp負荷は、多段階漸増負荷では検出が難しいとされる嫌気性代謝閾値や呼吸性代償開始点の検出に向いており、安静から最大・最高負荷まで負荷をかけることができると言われています。
そのためどのような方法で負荷をかけるかということもCPXでは大事だということがわかりますね。
では次回もどうぞよろしくお願いします。
心リハの運動処方作りを知ろうの回(運動負荷試験編)
どうも、cosugiです
今回こそはタイトル通り、心リハの運動処方、つまりどのように運動を行っていくかについて考えていきましょう。
例のごとく、指導士資格認定試験準拠 心臓リハビリテーション必携を参考にして、今回も説明していこうと思います。
まずは運動の種類からです。
心リハで行われる運動には大きく分けて2つあります。
それが
①:有酸素運動
です。
有酸素運動の類義語には持久性運動、好気的運動、エアロビックトレーニング等があり、レジスタンストレーニングの類義語には抵抗運動、筋力トレーニング等があります。
今回は統一して「有酸素運動」と「レジスタンストレーニング」と用語を決め、話を進めていこうと思います。
まずは有酸素運動についてです。
有酸素運動を行うにあたり検討したい項目が3つあります。
①:運動強度
②:運動時間
③:運動頻度
の3つです。
①:運動強度
これは「心肺運動負荷試験(以下CPX)」という方法を用いて設定されることが多いです。
運動負荷試験とは、身体的なストレス(運動)に対する生理的な反応を観察・評価する方法になります。
心リハにおいて、CPXは心肺に対して運動負荷をかけ、生理的な反応を観察・評価することになります。
ただし心疾患を有し、リハを行っている方は全員、CPXを行うかと言えば、また話は別で、CPXにも適応が設けられています。
適応に関しては「200m程度の歩行が可能な運動能を有していれば、エルゴメータかトレッドミルによる運動負荷試験が可能である」と述べられています(指導士資格認定試験準拠 心臓リハビリテーション必携より引用)。
がしかしですね、これはあくまで200m程度歩ければ、自転車エルゴメータ(自転車と同様にペダルを漕ぐ運動機器)やトレッドミル(屋内でも歩行やランニングを行えるような機器)で運動可能だから、試験そのものを行う運動能があるよねってことであり、これも病態や症状をみて、安全性が確保できる場合に行うべきと考えます。
その考える判断材料として絶対禁忌や相対的禁忌(利点が運動リスクを上回る場合には試験を考慮、実施)がありますので行う前に一読してみて検討してみてください。
10の絶対禁忌
1、急性しんきんこうそく(3-5日以内)
2、不安定狭心症
3、症状または血行動態障害を起こす
4、症候性重症大動脈狭窄
6、急性肺塞栓症または肺梗塞
7、運動機能に影響を及ぼすか、運動によって
悪化する恐れがある急性の非心臓性疾患
8、急性心筋炎または心膜炎
9、安全で適正な試験の実施を妨げると
思われる身体障害
10、下肢の血栓症
8つの相対的禁忌
1、左主幹冠動脈狭窄またはそれと同等の状態
2、中等度の狭窄性弁膜症
3、電解質異常
4、著名な動脈高血圧または肺高血圧
6、肥大型心筋症
7、試験協力不能を招く精神的障害
8、高度房室ブロック
安全だと判断できた場合、次に装置や負荷をかける方法を考えていきます。
試験に用いる道具は山形の階段、トレッドミルやエルゴメータが主です。
マスター負荷試験といって、1階段の登り降りを1分30秒(single)〜3分間(double)を行って、心電図変化により虚血の有無を判定する方法で、二段の山形の階段(高さ23cm、幅46-56cm、奥行き23-25cm)を用いることがあります。
しかし転倒の危険性や運動強度の定量化が難しいため最近ではあまり行わないようです。
その他、エルゴメータやトレッドミルがない場合は、6分間歩行試験という方法を用いることもある。
これは臨床上もよく行う検査であり、20-50m程度の直線距離が取れる、廊下等を6分間で最大何メートル歩行できるかを評価する方法で、大きい機器は使いません。また歩行距離から最高酸素摂取量を推測する予測式もあり、簡便で使いやすい検査ではないかなと思っています。ただし再現性の低さ、施設間での比較の難しさ、治療介入の評価における感度の悪さ等デメリットもありますので気をつけましょう。
これらの機器は主に運動負荷をかける道具として使います。これらの機器とは別に、生理的な反応を観察、評価を行うツールも必要になってきます。
計測機器としては、心電計と心電図モニター、呼気ガス分析装置等があると思います。
呼気ガス分析装置に関しては、自分が勤めている病院にはなく、教科書的なことしかお伝えできません。
心電計や心電図モニターは文字通り、心電図をを検査するための道具であり、心臓の周期的な電気的興奮を捉えるために行われます。また運動によって狭心症検出の有無(虚血性変化の有無も含む)、運動誘発性不整脈の評価のためにも重要な検査です。
また血圧、酸素飽和度もモニターしながら行うことも多いようです。
次に呼気ガス分析装置です。
前回のブログでもお話しましたが、運動することと心臓は関連しあっているわけです。しかし心臓だけでは運動はできません。肺が十分に酸素を取り込んだり、二酸化炭素を排出したり、また筋肉がちゃんと酸素を消費して二酸化炭素を産生できたり、体の発電所であるミトコンドリアが細胞内でエネルギーを作り出してくれる事等が上手く噛み合って、まるで歯車のように連動して上手く働き、必要なエネルギーを供給し続けてくれるからこそ運動できるのです(これをワッサーマンの歯車として図で説明されている書籍も多い。)
これら呼気ガス分析装置ではどのくらい体の中に酸素を取り込めるか、二酸化炭素をどのくらい排出できるのかを検査可能であり、その結果から肺機能・心機能・末梢循環・肺循環・骨格筋機能を含んだ全身の運動耐容能を評価します。
では実際に上記のような計測機器や装置を使ってどのようなCPXを行なっていくかは次回見ていきましょう。
またCPXを行うことでどんなことが分かるか、その点についても触れたいと思います。
ではまたどうぞよろしくお願いします。
心リハにおいて「運動療法」ってどんな役割なの?
どうも、cosugiです。
今回も心リハについてで、前回からの続きです。
前回、虚血性心疾患や慢性心不全に対する運動効果に関して少しだけ細かく見ていきました。
まだまだ細かい点もあるかと思いますが、ご了承ください。
では今回も心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン(https://www.j-circ.or.jp/old/guideline/pdf/JCS2012_nohara_h.pdf)や指導士資格認定試験準拠 心臓リハビリテーション必携を参考にして心リハと運動療法について述べていきたいと思います。
以前、心リハとは何かということはお話しましたが、改めて心リハにおいて運動療法ってどんな役割なの?本当に大事なの?
ってところを心リハの歴史や心臓の機能から少し考えていきましょう。
1960年代、急性心筋梗塞発症後は6-8週間はベッドの上で安静をとる(つまり寝床から離れられない)ことが厳格に実践されており、仕事へ復帰したり前のような生活を送れるようになることが珍しい状況でした。
そこから20年ほど経ち、1980年代、ベッドの上で長期間、ベッド安静を強いると身体に可逆的な調節異常が生じることが明らかになりました。これを「デコンディショニング」の概念とし、長期間ベッド安静を強いることで運動耐容能低下、心拍血圧調整異常、骨格筋廃用性萎縮、骨粗鬆症等の異常を生じることが確立されました。そのため長期的なベッド上安静を避け、早期に寝床から離れる(早期離床)、早期社会復帰・退院の風潮が強まりました。
退院や社会復帰の早期化の流れにより、入院期間は短縮し、アメリカでは1980年代には急性心筋梗塞患者の入院期間は10日ほどへ短縮したそうです。
退院が早まれば、今まで行ってきた運動に対する指導や患者教育に割ける時間が少なくなり、退院後にフォローするような形で「心臓リハビリプログラム」を行うようなり、徐々に心リハという概念が広まり始めたようです。
そして時が経ち、現在では早期離床によるデコンディショニング予防のみならず、冠危険因子の是正、二次予防(再発予防)のための生活指導、QOLの向上といった目的も含まれるようになり、入院中のみならず外来でのフォローや在宅での生活・運動指導まで時期に応じて対応するようになりました。
心臓の機能の面では、運動を行うということは筋肉を収縮させ、関節が動き、諸々の司令や制御を脳が担っているわけです。筋肉や脳の働きに「酸素」は不可欠であり、酸素を全身に送り出しているのが「心臓」です。
そのため「動く」ことと「心臓」というのは密接に関わっています。
以上のことから、「心リハ」において「運動療法」は大事な構成要素の1つであると思われます。
さてだいぶ前置きが長くなりましたが、じゃあ実際どうやって運動していくのか確認していきましょう。
まず大前提になるのですが、虚血性心疾患でも慢性心不全でも、どの疾患でもそうなのですが病態の把握、患者様の状態が今どのような状態なのか的確に評価しておく必要があります。
心リハの歴史の中でも、疾患の病期、つまり病気が起こって間もないのか、安定しているのかしていないのか、入院しているのか退院しているのか等、状況によってどのように関わるか、どんな運動をすればよいかといったことが変わってきます。
安定していない状態なのにどんどん動きましょうとはなりませんし、既に退院してある程度の職業復帰している方にベッド上で少し身体を動かして下さいでは効果として十分なの?となるかなと思います。
そのため教科書、ガイドライン等を参考に絶対禁忌・相対的禁忌や中止基準、変更基準を確認しつつ、実際には医師の指示のもとで運動しても大丈夫なのか、どんな運動ならやってもよいか確認してから運動に臨むようにしましょう。
といった長くなってしまいましたので、今回はここまでにしたいと思います。
もう少し要領よくまとめられれば、もっと多くの内容書けるのにな〜(とほほ...)。
またどうぞよろしくお願いします。
心リハの運動効果って何?part2
どうも、cosugiです
前回は虚血性心疾患に対する運動療法の効果について、心血管疾患リハビリテーションに関するガイドライン(https://www.j-circ.or.jp/old/guideline/pdf/JCS2012_nohara_h.pdf)を参考に1つ1つ確認していきましたねー。
今回もガイドラインを参考にしつつ、「慢性心不全」に対する運動療法の効果についてみていきましょう!
さて例のごとく、おさらいからですが慢性心不全に対する6つの運動療法の効果は何でしたでしょうか?
①:運動耐容能への効果
②:心臓への効果
③:末梢への効果
④:神経体液因子への効果
⑤:QOL、長期予後への効果
(⑥:患者背景及び病態別の効果)
この6つが挙げられていました。⑥に関しては、重要ですが慢性心不全という点では内容が複雑になりそうなので今回は割愛させて頂こうと思います。詳しく知りたい方はぜひ、上記に示してあるURLからガイドラインを確認してください。
では詳しく見ていきましょう
①:運動耐容能への効果
左室駆出率(LVEF:一回心拍出量を拡張末期容積で除し、100分率で表したもの)が平均で20-30%(正常範囲が55-90%、40%未満の心不全はHFrEFなんて言われたりします)、最高酸素摂取量が10-20mL/min/kg(安静座位で3.5mL/min/kg、活動が中等度の若年男性で40mL/min/kg)の慢性心不全患者に対して運動療法を行うと平均で最高酸素摂取量が20%増加、嫌気性代謝閾値(AT)の増加も認められるって感じ。
最高酸素摂取量やらATやらなんだか難しい単語がたくさん出てきましたがまた改めて書きます!
②:心臓への効果
左室収縮能改善効果は少ない(ただし、運動負荷時の心拍出量反応やDOB〈ドブタミン〉負荷時の左室収縮機能は改善、安静が変わらない)
一方で左室拡張機能に関しては、左室早期拡張期流入速度や弛緩速度は改善傾向
冠動脈に対しては冠動脈内皮機能が改善、冠側副血行路増加、運動時心筋灌流改善
左室リモデリングに関しては、悪化させることはないしむしろ抑制する、また左室リモデリング進展及び長期予後予測指標であるBNPやNT-pro BNPを低下させるよって感じ。
③:末梢への効果
骨格筋の筋肉量増加、ミトコンドリア容積の増加、骨格筋代謝及び機能の改善、呼吸筋機能の改善が見られ、これらの要素は運動耐容能の改善と関係あり、これらの末梢機序を介して運動耐容能は改善すると言われている。
また内皮依存性血管拡張拡張能改善(機序としては運動にて血流増加し、ずり応力増加の結果として血管内皮の一酸化窒素合成酵素が活性化し、一酸化窒素産生増加するためと言われている)認め、これも運動耐容能改善の一因を担う。
ただし運動を継続しないと内皮機能の改善は元に戻るよって感じ。
④:神経体液因子への効果
交感神経活動の抑制、副交感神経の活動促進、持久力運動で促されやすい
呼吸機能への影響もあり、心不全患者の運動に換気亢進が見られるが運動することによって呼吸中枢にある二酸化炭素感受性とともに換気亢進も改善
炎症マーカーや骨格筋局所のサイトカイン(IL-6、IL-1β、TNF-R)低下、抗酸化ストレス作用を認めるが動脈硬化抑制や長期的な指標になるかは今後の課題といった感じ
⑤:QOL、長期予後への効果
不安や抑うつに対する効果はほぼ確立されている、しかし運動耐容能が改善しなくてもQOLは改善するっぽいからそんなに強度が高い運動は必要ないかも
心不全再入院や心臓死が減少、心不全イベントもやや少ない、生存率や無事故発生率も良好
また運動行っても行わなくても心不全が悪化したり心事故が起きたり、整形外科的なイベントも変わらなかったので安全性があるよって感じ
今回も中々なボリュームでしたが少しでも参考になればと思います。
さてここまで心リハとは何ぞや、運動療法って何ぞや、どんな効果があるのというのをザーッと見てきましたが。。。
ではどんな運動をしたらこういった効果が得られるのか、みなさんは気になりませんか?笑
次回はどのような種類の運動がいいの?どうやってやったらいいの?ってとこを説明できればと思います。
どうぞよろしくお願いします
心リハの運動効果って何?
どうも、cosugiです
前回は運動療法って何?っていうことや運動療法によって虚血性心疾患(心筋梗塞後)、慢性心不全後の患者様に対してどのような効果が得られるかについてお話しました。
今回はその続きで運動療法による効果を深掘りしていこうと思います。
まず虚血性心疾患(心筋梗塞後)の患者様に対する7つの運動効果は何でしょう?
おさらいから参りましょう。
①:長期予後、死亡率の改善
②:生涯リスクの改善
③:運動耐容能の向上
④:左室リモデリングの改善
⑤:自律神経系への影響
⑥:精神的効果
⑦:安全性
上記の7つが心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン(https://www.j-circ.or.jp/old/guideline/pdf/JCS2012_nohara_h.pdf)上では挙げられていました。
今回も上記のガイドラインを参考にしつつ、7つ効果を1つずつ確認していきましょう!
ただし、今回は細かいエビデンスや統計処理については省きます(いずれしっかりとまとめたいですね!)。申し訳ありません。
①:長期予後、死亡率の改善
ガイドラインでは心リハは通常治療と比較して総死亡や心死亡を減少させた(概ね20%程度)という報告、(冠動脈の)再梗塞率が減少したという報告や運動耐容能及びQOLが改善、33ヶ月後まで心事故回避率および再入院回避率も良好だったなどの様々な報告をまとめて、長期予後、死亡率の改善の効果があるんじゃないのーって
述べている感じ。
②:生涯リスクの改善
若年で急性心筋梗塞の経皮的冠動脈インターベンション(詰まったり、狭まっている冠動脈を広げて血液の円滑な流れを取り戻す目的で行われる治療方法の1つ)治療が成功しており予後良好と判断された場合であっても、冠危険因子(高血圧、糖尿病、脂質代謝異常、喫煙、肥満、運動不足等)を多重に保有している場合が約半数いて、低リスクと判断された場合でも生涯リスクとしては高い場合がある、でも心リハへ積極的に参加することで運動耐容能や冠危険因子の有意な改善が見込まれそうだよといった感じ。
③:運動耐容能の向上
心リハによる運動耐容能の向上に関しては最大心拍出量と最大動静脈酸素較差の増大によるものが主であり、その理由としては骨格筋エネルギー代謝の改善、心筋虚血例では運動時の心筋虚血の改善が報告されており、心筋の収縮性の改善はMRI による左室計測の結果で認められなかった、期間は大体3-6ヶ月続けており、運動耐容能が低い人ほど効果が大きい、ただし負荷強度が低いと効果出ない場合もあるからAT(嫌気性代謝閾値)程度の負荷が理想的、ただし喫煙者や糖尿病等を合併していると心リハの効果がでない場合もあったよって感じ。
④:左室リモデリングの改善
左室のリモデリングとは心筋梗塞等によって心筋が壊死することで起こる左室の形態や容積、伸展性、壁の薄さ等文字どうり左室を増改築することをさします。ある意味で失われた機能を代償して心拍出量を保つ働きであるが、最終的には左室が拡張したり収縮したりする機能が低下してしまいます。
当初、運動療法はこのリモデリングを助長するのではと懸念されたいたがむしろ左室機能向上、左室のリモデリングも減少する可能性が示唆されてた、でも「左室リモデリングの高リスク例(たとえば広範前壁梗塞、LVEF<40%、左前下行枝再潅流不成功例など)では運動療法により左室の拡大を生ずる可能性を示唆した報告が過去にあり、運動強度を低めに設定し、 慎重に経過をみながら行うことが望ましい」というようにも述べられている感じ。
⑤:自律神経系への影響
運動療法により自律神経系にも種々のの影響を及ぼしており、心拍変動(心臓がドキドキと収縮する間隔の周期的な変動)から副交感神経優位になると言われていたり、早期に運動療法を実施することで血清ノルエピネフリン(ノルアドレナリンの米国での呼び方、交感神経の情報伝達に関与する神経伝達物質)濃度や尿中ノルエピネフリン排出量が減少、自律神経系のバランスを整える、周期呼吸(正常な呼吸と無呼吸を周期的に繰り返す呼吸)が消失する割合も運動療法した方が高いよーって感じ。
⑥:精神的効果
心筋梗塞患者ではうつ症状が多い、患者様の半分くらいは不安感がある、抑うつ傾向があると予後が悪くなる(6ヶ月、18ヶ月)、運動療法の精神的効果としてはQOLや行動特性の改善が挙げられるが、精神療法と併用した方が改善効果が良いよーって感じ。
⑦:安全性
個人の病態や運動能力に応じて運動処方すれば運動療法は安全で、運動中に心事故や有害事象の発生が増えることは少ない、でもリスクの層別化は高リスク患者を認識する上で重要だよーって感じ。
長くなりましたが虚血性心疾患(心筋梗塞)に関してはこんなところでしょうか。
これだけの効果がガイドライン上で示されているんですねー。
ちなみにこんなにたくさんのこと覚えられないとか、なんで覚えるのっていう声もありそうですが、実際に患者様に運動を提供していく状況に置かれた時に今からやろうとしていることの理由も説明せずに「はい、じゃあ今から動きましょう」では中々患者様も納得してくださらないんですね。
またそのときはよくても結局継続できなかったりする場合も多々あるので、運動を行うにあたってこういった効果があるんですよと必ず説明し、同意を得ることが必要ですし、患者様ご自身に運動の大切さを理解していただくことが重要だと感じます。
なので上に書いてあるような効果は日常的に説明しますし、使用するんですよねー笑
今回も少し長くなりましたので、心不全に関してもまとめようと思いますが、次回にしようと思います!
どうぞよろしくお願いします。